実例研究
継続取引のモデルは毎月10カ国向けに輸出取引(3本)、第三国取引(3本)、輸入取引(4本)であって、外航貨物海上保険のオープン・ポリシー(包括予定保険証券)を利用しているもの。(年間取扱い高は12億円予定。)
<輸出取引>
(1)タイ案件はCIF Bangkok(317万円)で保税地域での浸水事故、(2)USA案件はCIP New York(1,055万円)でUSA国内の鉄道脱線事故、(3)ドイツ案件はCIP Frankfurt(1,055万円)でドイツ国内の盗難事故をモデルにしたもの。
<第三国間取引>
(1)香港案件はCIF Hongkong(1,583万円)で荷卸港で港湾労働者によるストライキに遭遇したこと。(2)中国案件はCIPTianjin(1,055万円)で荷卸港でのコンテナの落下事故、(3)インド案件はCIP Delhi(2,638万円)で飛行機から荷卸し後、現地反体制側の武装勢力による貨物の捕獲事故をモデルにしたもの。
<輸入取引>
(1)シンガポール案件はFOB Tokyo(200万円)で在来船内の船火事事故、(2)台湾案件はCFR Tokyo(525万円)で在来船内の荒天遭遇による接触損事故、(3)フランス案件はFCA Tokyo(1,000万円)で日本国内地震によるトラック横転事故、(4)オーストラリア案件はCPT Tokyo(1,050万円)でコンテナ船で座礁による共同海損事故をモデルとしたもの。
<輸出取引>
【事例1】タイのA会社あてにCIF Bangkok(317万円)貨物を輸出したが、荷卸時の現地保税地域で河川水が浸入し、パレット貨物が損傷したもの。
セラーは前受金を確認した後、船積貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて木製の輸送用荷台(パレット)で輸出梱包し、保税地域に持ち込まれた後、自社が手配した在来船に積み込まれたもの。その後、現地の保税地域における集中豪雨でパレット貨物が水浸しになったもの。(乾燥し、修理しょうとしたが、PL問題の恐れから販売不能。)
(1)セラーは4月1日付けの船荷証券を受領。(2)セラーはA会社あてに船名と船積日を連絡。(3)セラーは保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載船舶名、出帆年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)A会社は荷卸し報告等により、荷卸し時の水濡れというリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)A会社は船会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)A会社はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)A会社は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)A会社は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび船荷証券等を揃えて保険金を請求。
【事例2】 USAのB会社あてにCIP New York(1,055万円)貨物を輸出したが、アメリカ国内の鉄道輸送時に脱線事故に遭遇し、貨物が大破したもの。
セラーは、信用状どおりの船積書類を確認した後、船積貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて保税地域からコンテナヤードに持ち込まれた後、自社指定コンテナ船に積み込まれたもの。その後、船舶から荷卸し後、鉄道輸送時に竜巻に巻き込まれて脱線し、その衝撃でコンテナ内にあった貨物が大破したもの。(当該貨物は、修理してもPL問題の恐れから販売不能。)
(1)セラーは5月6日付けの複合運送証券を受領。(2)セラーはB会社あてに船名と船積日を連絡。(3)セラーは保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載船舶名、出帆年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)B会社は荷卸し報告等により鉄道の脱線事故というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)B会社はコンテナシールを点検し、運送会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)B会社はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)B会社は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)B会社は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび複合運送証券等を揃えて保険金を請求。
【事例3】ドイツのC会社あてにCIP Frankfurt(1,055万円)貨物を輸出したが、バイヤーの倉庫まで運送中に貨物の盗難事故に遭遇したもの。
セラーは、TT後払いのため利用している取引信用保険でクレジットリミットの範囲内で空輸手続きを手配した後、航空貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて保税地域からコンテナヤードに持ち込まれた後、自社が手配した飛行機に積み込まれたもの。その後、飛行機から荷卸し後、トラック輸送中にトラックごと盗難にあったもの。
(1)セラーは6月7日付けの航空運送状を受領。(2)セラーはC会社あてに飛行機名とフライト日を連絡。(3)セラーは保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載飛行機名、フライト年月日、空路、保険金額等)を提出。(4)C会社は荷卸し報告等により盗難事故というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)C会社はコンテナシールを点検し、運送会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)C会社はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)C会社は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)C会社は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび航空運送状等を揃えて保険金を請求。
<第三国間取引>
【事例1】香港のD会社あてにCIF Hongkong(1,583万円)貨物をシンガポール現地法人経由で輸出したが、荷卸港で港湾労働者のストライキに遭遇したこと。
セラーは、前受金を確認した後、船積貨物は海貨業者(海運貨物取扱業者のこと。)を通じて透かし箱詰めの輸出梱包とし、保税地域に持ち込まれた後、自社が手配した在来船に積み込まれたもの。その後、船舶が荷揚港に到着したが、現地港湾労働者による長期ストライキの突入中であり、1月以上にわたって貨物が現地で滞留状態に陥ったこと。
(1)セラー(シンガポール現地法人)は7月10日付けの船荷証券を受領。(2)セラーはD会社あてに船名と船積日を連絡。(3)セラーは保険会社あてに確定通知書(明細、数量、積載船舶名、出帆年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)D会社は荷卸し報告等により、港湾ストライキというリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)D会社は船会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)D会社はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)D会社は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)D会社は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび船荷証券等を揃えて保険金を請求
【事例2】 中国のE会社あてにCIP Tianjin(1,055万円)貨物をでシンガポール現地法人経由で輸出したが、荷卸港で荷卸し中にコンテナが落下し、貨物が 大破したもの。
セラーは、信用状どおりの船積書類を作成した後、船積貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて保税地域からコンテナヤードに持ち込まれた後、自社が手配したコンテナ船に積み込まれたもの。その後、船積貨物が荷揚港に到着したが、荷卸し中にコンテナを落下させて、コンテナ内の貨物を全損させたもの。
(1)セラー(シンガポール現地法人)は8月12日付けの複合運送証券を受領。(2)セラーはE会社あてに船名と船積日を連絡。(3)セラーは保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載船舶名、出帆年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)E会社は荷卸し報告等により、荷卸し中の落下というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)E会社はコンテナシールを点検し、船会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)E会社はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)E会社は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)E会社は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび複合運送証券等を揃えて保険金を請求。
【事例3】インドのF会社向けにCIP Delhi(2,638万円)貨物をシンガポール現地法人経由で輸出したが、現地の反政府側の武装勢力により貨物が捕獲されたもの。
セラーは、TT後払いのため利用している取引信用保険でクレジットリミットの範囲内で空輸手続きを手配した後、航空貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて保税地域からコンテナヤードに持ち込まれた後、自社が手配した飛行機に積み込まれたもの。その後、貨物は飛行機から荷卸し後、Fバイヤーの倉庫までの輸送中に反政府側の武装勢力により貨物が補獲されたもの。
(1)セラー(シンガポール現地法人)は9月15日付けの航空運送状を受領。(2)セラーはF会社あてに飛行機名とフライト日を連絡。(3)セラーは保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載飛行機名、フライト年月日、空路、保険金額等)を提出。(4)F会社は荷卸し報告等により、武装勢力による捕獲というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)F会社はコンテナシールを点検し、通運会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)F会社はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)F会社は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)F会社は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび航空運送状等を揃えて保険金を請求。
<輸入取引>
【事例1】シンガポールのG会社からFOB Tokyo(200万円)貨物を輸入したが、船舶が火災を起こし、貨物が全焼したもの。
輸入者は、TT後払いのもとで船積みを手配した後、船積貨物は海貨業者(海外の海運貨物取扱業者のこと。)を通じて段ボールで輸出梱包とし、保税地域に持ち込まれた後、自社が手配した在来船に積み込まれたもの。その後、輸送中に船火災(Burning)が発生し、輸出貨物が全焼したもの。
(1)G会社は10月17日付けの船荷証券を受領。(2)輸入者はG会社から船名と船積日の連絡を受ける。(3)輸入者は保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載船舶名、出帆年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)輸入者は荷卸し報告等により、火災(Burning)というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)輸入者は船会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)輸入者はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)輸入者は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)輸入者は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび船荷証券等を揃えて保険金を請求。
【事例2】台湾のH会社からCFR Tokyo(525万円)貨物を輸入したが、荒天遭遇により貨物同士が接触し、貨物が大破したもの。
H会社は、TT後払いのもとで船積みを手配した後、船積貨物は海貨業者(海外の海運貨物取扱業者のこと。)を通じて密閉形の茶箱で輸出梱包とし、保税地域に持ち込まれた後、H社が手配した在来船に積み込まれたもの。その後、荒天遭遇(大型台風)によるローリングやピッチングにより貨物を固縛していたものがほどけて貨物同士が接触し、貨物が大破したもの。(当該貨物は修理してもPL問題の恐れから販売不能。)
(1)H会社は11月20日付けの船荷証券を受領。(2)輸入者はH会社から船名と船積日の連絡を受ける。(3)輸入者は保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載船舶名、出帆年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)輸入者は荷卸し報告等により、手鈎・油脂・酸・他貨との接触等(Hook,Oil,Grease,Acid,Contact with other cargo)による損害というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)輸入者は船会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)輸入者はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)輸入者は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)輸入者は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび船荷証券等を揃えて保険金を請求。
【事例3】フランスのI会社からFCA Tokyo(1,000万円)貨物を輸入し、輸入者の倉庫まで運送中に、地震が発生し、トラック横転によりコンテナが大破し、貨物が損傷したもの。
輸入者は、TT後払いのもとで船積みを手配した後、航空貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて保税地域からコンテナヤードで持ち込まれた後、自社が手配した飛行機に積み込まれたこと。その後、成田空港で荷卸した後、自社倉庫向けのトラック輸送中に地震発生によりトラックが横転し、コンテナ内の貨物が大破したもの。
(1)I会社は12月22日付けの航空運送状を受領。(2)輸入者はI会社から飛行機名とフライト日の連絡を受けて、海上保険の付保を手配。(3)輸入者は保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載飛行機名、フライト年月日、空路、保険金額等)を提出。(4)輸入者は荷卸し報告等により、地震発生での貨物大破というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)輸入者はコンテナシールを点検し、運送会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)輸入者はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)輸入者は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)輸入者は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび航空運送状等を揃えて保険金を請求。
【事例4】 オーストラリアのJ会社からCPT Tokyo(1,050万円)貨物を輸入したが、貨物を輸送しているコンテナ船が夜間に座礁(Stranding)し、共同海損に陥ったもの。
J会社は、TT後払いのもとで船積みを手配した後、船積貨物は運送人(複合運送業者のこと。)を通じて保税地域からコンテナヤードで持ち込まれた後、J会社が手配したコンテナ船に積み込まれたもの。その後、貨物を輸送している船舶が夜間に座礁(Stranding)し、共同海損に陥ったもの。
(1)J会社は12月24日付けの複合運送証券を受領。(2)輸入者はJ会社から船名と船積日の連絡を受けて、海上保険の付保を手配。(3)輸入者は保険会社あてに確定通知書(貨物の明細、数量、積載船舶名、船積年月日、航路、保険金額等)を提出。(4)輸入者は荷卸し報告等により、座礁(Stranding)というリマークを確認し、保険会社あてに事故発生通知書を提出。(5)輸入者はコンテナシールを点検し、船会社から損傷の責任に係る文書を求める。(6)輸入者はサーベヤーから損傷の程度に関する鑑定書を求める。(7)輸入者は保険会社クレーム・エージェントから検査報告書を求める。(8)輸入者は(5)から(7)までの書類を入手した後、保険証券、インボイスおよび複合運送証券等を揃えて保険金を請求。