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コンサルティング

■商談時

1.基本契約書を決めようとするときのフォロー

継続的に取引をすすめるときは、トラブルの発生を見越してクレーム条項や仲裁条項をあらかじめ決めておくことが重要です。

○クレーム条項

貨物の滅失または損傷が外見上明らかな場合には、遅滞なく運送人等に埠頭での損害調査を申し出たり、それが明らかでなかった場合には引取後直ちに点検し、 判明したときは同3日以内に当該運送人あてに書面でもって、当該貨物の滅失または損傷について通知したりすることが求められます。

○仲裁条項

クレームが発生した場合には、クレームの事実関係を明確にし、帰責をはっきりさせなければなりませんが、そのときの調停機関をあらかじめ特定することが求められます。

■船積準備時

1.輸出梱包しようとするときのフォロー

セラー(荷主)が付保前に輸出包装等を自社内で対応し、その包装が不十分のために貨物にダメージを与えた場合には、いわゆる「自招行為」と見なされることがあります。(海上保険での免責)そこでは、ナショナルスタンダード(JIS規格)や業界スタンダードに精通した海貨業者等に任せることがあります。
しかし、第三国から貨物を調達して輸出する場合には、当該調達国における業界スタンダード等がはっきりしないことがあるかもしれません。その場合、あらかじめ梱包仕様等を定めて、第三国間取引をすすめるのが肝要です。
(注)「海貨業者」とは、「海運貨物取扱業者」の略称であり、輸出の場合は蔵出しから船積みまで、輸入の場合は荷卸しから荷主倉庫への搬入まで代行してもらえる業者のこと。

2.梱包仕様を決めようとするときのフォロー

国際間を輸送される貨物の滅失や損傷は、運送容器の製作年度や、季節や天候等に左右されるリスクも想定されます。その場合、海固有のリスク(船舶の沈没・座礁・火災・衝突)と同等に扱えないこともあります。
例えば、(1)新造のコンテナーを使う場合に、いわゆるシックハウスにあたる臭損、(2)オープントップコンテナーのように屋根の取り外しができるものを上甲板に置く場合に、海水の浸入によるさび損、(3)寒い季節の積出港から暖かい季節の荷卸港まで航海し、貨物に汗(cargo sweat)が発生する場合に、黴び損等があげられます。通常、予想される貨物のダメージに関しては、自己責任での対応が求められます。それが航海に堪えられる梱包仕様(Seaworthy Packing)にあたると言えます。

3.船舶を決めるときのフォロー

外航貨物事故が発生する可能性は、気象条件の外的要因のみならず、船舶自身の年齢
(船齢)、大きさ、船体構造、船級取得の有無等の各要素にも左右されることがあります。船腹を手配するときは、船舶に積載される貨物自体の輸出梱包に加えて、起用する船の船齢が保険会社が定める「船齢割増料率」の対象に該当していないかどうかがあります。
(注)「船齢割増料率」とは、船齢が(1)16歳から20歳、(2)21歳から25歳、(3)26歳以上で適用される割増のことを言います。

■船積時

1.貨物が検量されたときのフォロー

船舶に積載される貨物の重量(容積)は、荷主側の申告に基づいたり、所定の測定方法を定めて決められることがありますが、運賃を算定するときの要にあたります。その重量は、航海中に変化することがあり、船積時と荷揚時のものが異なっても、船積時のデータでもって貨物代金を支払ってもらうように定めることが重要です。(積地基準)
(注)「積地基準」とは、インコタームズ(貿易条件の解釈に関する国際規則)のCIF輸出貨物やFOB輸入貨物で事実上採用されているものです。

2.貨物が検数されたときのフォロー

リマークされた「貨物受取証」は、そのままであれば、故障付船荷証券となり、金融機関から相手にされなくなります。荷主側が「リマークから起因する損害に対して荷主が一切補償する」という補償状を船会社に提出することによってクリーン船荷証券を発行してもらい、金融機関を介在した貨物代金の取立スキームを利用することができます。
(注) 「船荷証券」とは、荷主が一等航海士の署名入りの「貨物受取症」等と引換に発行してもらう流通証券であって、当該船荷証券が貨物代金の支払後に荷受人(バイヤー)の手元に回りますと、荷受人は当該船荷証券と引換に船会社から貨物を受け取ることができるものです。

3.船荷証券を受領したときのフォロー

船積書類の1つである船荷証券は、直接または代行してもらう海貨業者経由船会社に対して船荷証券の作成データを提供した内容に基づいて作成されます。
<荷主→船積依頼書→ Shipping Application→貨物受取書等→船荷証券>
L/C条件の場合は、例えば記名式のもとで依頼することがあります。しかし、L/C条件と異なった特定の会社名でもって船荷証券が作成されますと、荷受人は船会社から貨物を受け取ることができなくなりますから、当該L/Cとのすり合わせが重要です。
(注)「指図式」とは、荷受人欄の表示方式の1つ。 to order やorder of shipperとして表記されることがあります。荷主だけの署名により譲渡できます。(白地裏書)
また、「記名式」とは、荷受人欄に特定の会社名を記載し、貨物引渡の請求権者を明示するもの。貨物代金の前払先や信用状発行銀行名を記載するのががほとんど。譲渡する相手方を記入し、荷主の署名により譲渡できます。

4.荷受人が経営破綻したときのフォロー

D/P手形やD/A手形のうち荷受人が貨物の支払い代金に対してどうしても調達できないことがあります。それは、貨物代金の支払いと引き替えに船荷証券が荷受人に渡せないことを意味し、貨物は現地側の保税地域に置かざるを得ないことが想定されます。その場合、外航貨物海上保険は荷卸港に着船後60日で保険関係が終わりますから、荷主はその期間内に本邦への積み戻しや第三者への転売を図らなければなりません。
また、揮発性液体が減量したり、生鮮食料品が腐敗したりする貨物は、「固有の瑕疵」と言われ、外航貨物海上保険をあてにすることは難しいですから、迅速に対応しなければなりません。
(注)「固有の瑕疵」とは、貨物自体の欠陥や貨物本来の性質から引き起こされる損害のことを言います。(海上保険の免責)

■荷揚時

1.荒天に遭遇したときのフォロー

荷受人は、船会社からの着船通知に先立って荒天遭遇等による貨物の滅失または損傷を知ることがあります。荷受人は、サーベヤーの手配から貨物の損傷状況をカラーの写真撮りを依頼し、保険会社または現地のクレーム・エージェント(損害査定代理店)に連絡します。その場合、貨物の損害が船のローリング等により梱包やコンテナーが破壊しても、本体の貨物にまで及んでいるかどうかはっきりしないことがあります。その場合、荷受人は荷卸し後3日以内に損壊の事実を明らかにしなければなりません。そうしませんと、船会社をはじめとした運送人の責任を追及することが難しくなります。貨物の損壊に対しては、船会社宛にクレーム通知を提出し、船会社からの回答を求めることが必要です。それらは、海上保険の保険金請求の添付書類に回されます。